弁護士コラム

2019.06.30更新

 横浜<馬車道・関内>の弁護士木下正信です。


 法学教室2019年7月号(有斐閣)を読みました。

 法学教室2019年7月号 弁護士 有斐閣

 

 
 1特集
 今回の特集は,【講義・刑法の重要判例】でした。



 ①過失犯における結果回避可能性(最判平成15年1月24日判時1806号157頁)
 ②中立的行為による幇助(最決平成23年12月19日刑集65巻9号1380頁)
 ③名誉棄損における真実性の誤信(最決平成22年3月15日刑集64巻2号1頁)
 ④親族相盗例の適用範囲(最決平成20年2月18日刑集62巻2号37頁)
 ⑤電子計算機使用詐欺における「虚偽」の情報(最決平成18年2月14日刑集60巻2号165頁)
 ⑥放火罪における「公共の危険」(最決平成15年4月14日) 

 の近時の6つの重要判例について,リーディングケースとなる判例を踏まえた論文はどれも読みごたえがありました。

 


 なお,橋爪隆教授のはしがきによれば,「重要判例といっても,大雑把に分類すれば,2つのタイプがあり,それぞれに「正確な理解」を難しくさせる事情がある。まず,学説の議論を牽引するタイプの判例である。たとえば因果関係,正当防衛,詐欺罪などの領域は,重要判例を契機として,学説が深化を遂げていったということができる。」「これに対して,重要な判例の中には類似の事例が必ずしも多くなく,また,学説上も十分に検討されずに,いつの間にか議論が固定化しているものも少なくない。」「今回の特集では,後者のグループの判例を中心として」選んだとのことでした。


 2刑法事例の歩き方――判例を地図に


 刑法事例の歩き方の第4回目のテーマは,『過剰防衛』でした。
 過剰防衛については,行為の捉え方なども絡んで,受験生の時には,なかなか難しい分野でした。

 最判平成9年6月16日刑集51巻5号435頁,最決平成21年2月24日63巻2号1頁などの過剰防衛に関する重要判例の理解の深化に役立ちました。

 

 3判例セレクト

 

 最決平成31年2月12日裁時1718号1頁(離婚訴訟の被告が原告の不貞行為の相手方に対して提起した損害賠償請求訴訟は,人事訴訟法8条1項の関連請求に該当するか?→該当する。)

は実務上,重要だと思いました。

 


 今回学んだ知識を,今後の業務においても,生かしていきたいと思います。令和元年7月も頑張っていきます!

 

 

投稿者: 弁護士木下正信

2019.06.14更新

 横浜〈馬車道・関内〉の弁護士木下正信です。



 昨日(令和元年6月13日),勉強カフェ横浜関内スタジオにて,法律セミナーを開催しました。



 第4回目のセミナーのテーマは,「【法律】押さえておきたいQ&A【離婚問題編パート2】」でした。




 架空の事例をもとに,1時間程度,お話をさせていただきました。




 以下は,質問の抜粋ですが,皆様も,試しに考えてみてください。

 

 

 


 ①
昨日,妻と怒鳴り合いの大喧嘩となり,妻が子供を連れて出て行きました。そして,昨日,妻から,カジュアルに「離婚届出しておいたよ。」とLINEが来ました。

 確かに,大喧嘩の際に,売り言葉に買い言葉で,私が「離婚だ!!」と口走ったのは事実ですが,私は,離婚届に署名も捺印もいずれもしていませんし,冷静になった今,妻と離婚する気持ちはありません。

 

 

 妻が勝手に役所に提出した離婚届は無効にできないのでしょうか?

 

 

②妻が,鬱(うつ)になりました。

 妻は専業主婦ですので,これまでは妻が家のことを担当してくれていたのですが,妻が鬱になった以降は,私が,育児や掃除,料理,洗濯,掃除等のあらゆる家事の負担をしています。家族として,大変な時こそ支え合うのは当然だと思いますし,これまでの妻への感謝の気持ちから,仕事・育児・家事の3つの両立に挑戦してきました。しかし,最近は,「体の調子が悪い。」と一日中寝ている妻に嫌気がさしてきました。妻の鬱病が完治する見通しも立っていません。「先が見えない」今の生活を続けるのは辛いです。

 

 

 私は,妻と離婚できますか?

 

 

③ 現在,妻と離婚協議中です。
 財産をどう分けるか(財産分与)の話し合いを行っているのですが,結婚後に,ペットショップで購入したスコティッシュフォールド種(ネコ)の「モモちゃん」をどちらが引き取るのかで大きく揉めています。お互いに譲らないため,このままでは調停や裁判になるかもしれません。

 

 

裁判で離婚条件を決めることになった場合,「モモちゃん」をどちらが引き取るかはどうやって決めていくのでしょうか?

 


④ 最近,「5年前に離婚した元妻が再婚した」との風の噂を聞きました。元妻との間には子供が一人おり(離婚当時5歳),離婚してから現在に至るまで,毎月,養育費3万円を支払ってきました。しかし,私も3年前に再婚し,再婚相手との間に子どもできたことでお金が掛かるため,家計は火の車です。

 

 

 元妻に対し,養育費の減額を求めることはできるでしょうか。




今回も,受講生の方や勉強カフェスタッフの方々にサポートいただき,無事,セミナーを開催することができました。

 

これからも,定期的に,法律セミナーを開催してしていきたいと思います。
 

投稿者: 弁護士木下正信

2019.06.14更新

 横浜〈馬車道・関内〉の弁護士木下正信です。



 昨日(令和元年6月13日),勉強カフェ横浜関内スタジオにて,法律セミナーを開催しました。



 第4回目のセミナーのテーマは,「【法律】押さえておきたいQ&A【離婚問題編パート2】」でした。




 架空の事例をもとに,1時間程度,お話をさせていただきました。




 以下は,質問の抜粋ですが,皆様も,試しに考えてみてください。

 

 

 


 ①
昨日,妻と怒鳴り合いの大喧嘩となり,妻が子供を連れて出て行きました。そして,昨日,妻から,カジュアルに「離婚届出しておいたよ。」とLINEが来ました。

 確かに,大喧嘩の際に,売り言葉に買い言葉で,私が「離婚だ!!」と口走ったのは事実ですが,私は,離婚届に署名も捺印もいずれもしていませんし,冷静になった今,妻と離婚する気持ちはありません。

 

 

 妻が勝手に役所に提出した離婚届は無効にできないのでしょうか?

 

 

②妻が,鬱(うつ)になりました。

 妻は専業主婦ですので,これまでは妻が家のことを担当してくれていたのですが,妻が鬱になった以降は,私が,育児や掃除,料理,洗濯,掃除等のあらゆる家事の負担をしています。家族として,大変な時こそ支え合うのは当然だと思いますし,これまでの妻への感謝の気持ちから,仕事・育児・家事の3つの両立に挑戦してきました。しかし,最近は,「体の調子が悪い。」と一日中寝ている妻に嫌気がさしてきました。妻の鬱病が完治する見通しも立っていません。「先が見えない」今の生活を続けるのは辛いです。

 

 

 私は,妻と離婚できますか?

 

 

③ 現在,妻と離婚協議中です。
 財産をどう分けるか(財産分与)の話し合いを行っているのですが,結婚後に,ペットショップで購入したスコティッシュフォールド種(ネコ)の「モモちゃん」をどちらが引き取るのかで大きく揉めています。お互いに譲らないため,このままでは調停や裁判になるかもしれません。

 

 

裁判で離婚条件を決めることになった場合,「モモちゃん」をどちらが引き取るかはどうやって決めていくのでしょうか?

 


④ 最近,「5年前に離婚した元妻が再婚した」との風の噂を聞きました。元妻との間には子供が一人おり(離婚当時5歳),離婚してから現在に至るまで,毎月,養育費3万円を支払ってきました。しかし,私も3年前に再婚し,再婚相手との間に子どもできたことでお金が掛かるため,家計は火の車です。

 

 

 元妻に対し,養育費の減額を求めることはできるでしょうか。




今回も,受講生の方や勉強カフェスタッフの方々にサポートいただき,無事,セミナーを開催することができました。

 

これからも,定期的に,法律セミナーを開催してしていきたいと思います。
 

投稿者: 弁護士木下正信

2019.06.05更新


 横浜〈馬車道・関内〉の弁護士木下正信です。

 

 

 平成30年11月4日に弊所に迎え入れた『パキラ』が大きく生長しました。

 

 

入所約7ヶ月現在のパキラの姿はこちらです。

 

 

葉が大きくなり,頼もしくなりました。

 

パキラ 生長 弁護士 観葉植物

 

ちなみに,入所時のパキラの姿はこちらです

 

パキラ 観葉植物 弁護士

 

植物の生長スピードの早さには驚かされます。

 

 

今後も,パキラの生長を見守っていきたいと思います。

 

 

投稿者: 弁護士木下正信

2019.06.02更新

 横浜〈馬車道・関内〉の弁護士木下正信です。

 

 法学教室2019年6月号を読みました。

 

 法学教室 2019年6月号 弁護士 有斐閣

 1【特集】講義・民法の重要判例

 

 今回の【特集】は,「民法の重要判例」でした。

 

Ⅰ    契約解除における使用利益の返還義務(最判昭和51年2月13日民集30巻1号1頁)

Ⅱ   下請契約における出来形部分の所有権の帰属(最判平成5年10月19日民集47巻8号5061頁)

Ⅲ  賃貸不動産の譲渡と賃貸人たる地位の留保(最判平成11年3月25日判時1674号61頁)

Ⅳ 委任の解除(最判昭和56年1月19日民集35巻1号1頁)

Ⅴ 三者間相殺(最判平成28年7月8日民集70巻6号1611頁)

Ⅵ 交通事故と医療過誤の競合と共同不法行為(最判平成13年3月13日民集55巻2号328頁)

 

の6つの判例を対象に,事案及び判旨の解説とともに,債権法改正が及ぼす影響等にも言及があり,読み応えがありました。

 

 まず,Ⅱについては,最判平成5年10月19日民集47巻8号5061頁の問題の所在(注文者の二重払いの危険の防止vs下請人の請負代金債権の確保の要請の対立軸)が明確にされており,また,判例法理の射程範囲(「平成5年判決の射程として,注文者の代金支払が済んでおらず,かつ特約も定められていない場合に出来形部分の所有権の帰属が注文者又はは下請人のいずれになるのか」は不明であるとのことです。)について理解を深めることができました。

 

 Ⅲについては,改正民法の規律は,最判平成11年3月25日判時1674号61頁を踏まえて「賃貸人たる地位の留保合意の効力を認めた上で,賃借人の保護を図る」という目的を推し進めたものであるとされ,民法改正(民法605条の2第2項等)の経緯について,理解を深めることができました。

 

 

2事例で考える民事訴訟法

 

事例で考える民事訴訟法の「第15回」のテーマは,「二重起訴の禁止」でした。

民事訴訟法142条は,「裁判所に係属する事件については,当事者は,更に訴えを提起することができない。」と規定し,その法文の趣旨に絡んで,要件・効果に争いがあるところです。

142条の趣旨について,伝統的通説は,①既判力の矛盾抵触の回避②裁判所にとっての審理重複の無駄の回避③被告の二重応訴の負担の回避の3つを挙げていました。

これに対し,近時の有力説は,伝統的通説が,①既判力の矛盾抵触の回避を絶対視していた点を手厳しく批判しており,この点に関する理解が,142条の要件・効果の解釈にも影響してくるとのことでした。

 

 

3刑法事例の歩き方―判例を地図に

 

「第3回」のテーマは,「正当防衛」でした。

正当防衛について,刑法36条は,

「1項:急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 2項:防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と規定しています。

「急迫」性や相当性(「やむを得ずにした行為」)の解釈については,判例法理の蓄積があるところですが,「急迫性が否定されるのは,心情的要素としての積極的加害意思が認められる場合に限定されないことを明らかにした」最高裁判例(平成29年4月26日決定刑集71巻4号275頁)の示した考慮要素の意味内容,また,平成29年決定との関係で,自招侵害に関する最高裁判例(最決平成20年5月20日刑集62巻6号1786頁)の位置付けについて,理解を深めることができました。

 

 

 

今月の法学教室は,大変勉強になりました。

6月も頑張っていきます。

 

 

投稿者: 弁護士木下正信

2019.06.02更新

 横浜〈馬車道・関内〉の弁護士木下正信です。

 

 法学教室2019年6月号を読みました。

 

 法学教室 2019年6月号 弁護士 有斐閣

 1【特集】講義・民法の重要判例

 

 今回の【特集】は,「民法の重要判例」でした。

 

Ⅰ    契約解除における使用利益の返還義務(最判昭和51年2月13日民集30巻1号1頁)

Ⅱ   下請契約における出来形部分の所有権の帰属(最判平成5年10月19日民集47巻8号5061頁)

Ⅲ  賃貸不動産の譲渡と賃貸人たる地位の留保(最判平成11年3月25日判時1674号61頁)

Ⅳ 委任の解除(最判昭和56年1月19日民集35巻1号1頁)

Ⅴ 三者間相殺(最判平成28年7月8日民集70巻6号1611頁)

Ⅵ 交通事故と医療過誤の競合と共同不法行為(最判平成13年3月13日民集55巻2号328頁)

 

の6つの判例を対象に,事案及び判旨の解説とともに,債権法改正が及ぼす影響等にも言及があり,読み応えがありました。

 

 まず,Ⅱについては,最判平成5年10月19日民集47巻8号5061頁の問題の所在(注文者の二重払いの危険の防止vs下請人の請負代金債権の確保の要請の対立軸)が明確にされており,また,判例法理の射程範囲(「平成5年判決の射程として,注文者の代金支払が済んでおらず,かつ特約も定められていない場合に出来形部分の所有権の帰属が注文者又はは下請人のいずれになるのか」は不明であるとのことです。)について理解を深めることができました。

 

 Ⅲについては,改正民法の規律は,最判平成11年3月25日判時1674号61頁を踏まえて「賃貸人たる地位の留保合意の効力を認めた上で,賃借人の保護を図る」という目的を推し進めたものであるとされ,民法改正(民法605条の2第2項等)の経緯について,理解を深めることができました。

 

 

2事例で考える民事訴訟法

 

事例で考える民事訴訟法の「第15回」のテーマは,「二重起訴の禁止」でした。

民事訴訟法142条は,「裁判所に係属する事件については,当事者は,更に訴えを提起することができない。」と規定し,その法文の趣旨に絡んで,要件・効果に争いがあるところです。

142条の趣旨について,伝統的通説は,①既判力の矛盾抵触の回避②裁判所にとっての審理重複の無駄の回避③被告の二重応訴の負担の回避の3つを挙げていました。

これに対し,近時の有力説は,伝統的通説が,①既判力の矛盾抵触の回避を絶対視していた点を手厳しく批判しており,この点に関する理解が,142条の要件・効果の解釈にも影響してくるとのことでした。

 

 

3刑法事例の歩き方―判例を地図に

 

「第3回」のテーマは,「正当防衛」でした。

正当防衛について,刑法36条は,

「1項:急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。
 2項:防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」と規定しています。

「急迫」性や相当性(「やむを得ずにした行為」)の解釈については,判例法理の蓄積があるところですが,「急迫性が否定されるのは,心情的要素としての積極的加害意思が認められる場合に限定されないことを明らかにした」最高裁判例(平成29年4月26日決定刑集71巻4号275頁)の示した考慮要素の意味内容,また,平成29年決定との関係で,自招侵害に関する最高裁判例(最決平成20年5月20日刑集62巻6号1786頁)の位置付けについて,理解を深めることができました。

 

 

 

今月の法学教室は,大変勉強になりました。

6月も頑張っていきます。

 

 

投稿者: 弁護士木下正信

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