【法律雑誌】法学教室2018年12月号を読みました。
2018.11.29更新
横浜〈馬車道・関内〉の弁護士木下正信です。
法学教室2018年12月号を読みました。
1特集
今回の特集記事は,「再確認・民事訴訟法の基本」でした。
テーマは,
Ⅰ当事者適格
Ⅱ確認の利益
Ⅲ弁論主義
Ⅳ証明責任
Ⅴ既判力の客観的範囲
Ⅵ既判力の主観的範囲
Ⅶ共同訴訟の類型
Ⅷ補助参加
の8つでした。
当職は,様々な民事裁判を扱っていることから,今回の論考を興味深く読ませていただきました。
とりわけ,慶應大学教授の芳賀先生の「Ⅴ 既判力の客観的範囲」の記事は,既判力に対する理解の整理に極めて有用でした。
実務では,正直,既判力が問題となるケースは少ないのですが,問題となった場合のために,理解を深めることができました。
2判例セレクト
判例セレクトには,【憲法】検索事業者に対する検索結果の削除請求事件(東京高判平成30年8月23日判決)や【刑法】被害者を殺害後に姦淫する意思であった場合における(旧)強盗強姦未遂罪の成否(東京高判平成29年12月1日判決)などの興味深い事件の紹介がありました。
特に,後者の裁判例は,いわゆる「死者の占有」に関する最判昭和41年4月8日刑集20巻4号207頁の射程や,また,居住者全員を殺害した後で放火した事案において当該建物を非現住建造物と解釈した大判大正6年4月13日との関係性と絡んで,難しい論点を含んでいるように思います。
読み応えのある,法学教室2018年12月号でした。
本年も残すところ1か月ですが,頑張っていきたいと思います。
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