弁護士コラム

2018.05.31更新

 横浜<馬車道・関内>の弁護士木下正信です。

 

 

 有斐閣の法学教室2018年6月号を読みました。

 

弁護士 有斐閣 法学教室2018年6月号

 

特集は,【再確認・刑法の基本】でした。

 

 

【特集のテーマ】

①正当防衛状況の判断

②過剰防衛の成否

③早すぎた構成要件実現

④承継的共犯

⑤詐欺罪における人を欺く行為

⑥不法領得の意思

⑦不動産の二重譲渡・二重抵当

⑧文書偽造罪における「人格の同一性」

 

という8つの論文の掲載がありました。

 

 

とりわけ,慶應義塾大学教授の和田俊憲先生が執筆された「⑤詐欺罪おける人を欺く行為」は興味深く読ませていただきました。

 

 

近時,詐欺罪に関しては,最決平成22年7月29日刑集64巻5号829頁(国際線搭乗券事件),最決平成26年4月7日刑集68巻4号715頁(暴力団員であることを秘した自己名義の貯金通帳などの取得),そして,山口厚裁判官が補足意見を付されている,最判平成30年3月22日裁時1696号6頁(詐欺罪における実行の着手が問題となったケース)など重要な最高裁判例が複数出ているところです。

 

 

詐欺罪は,刑法の第246条に規定されています。

 

 

【刑法第246条】

1 人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する。
2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 

 

例えば,私が,受験生であったころは,上記条文については明確に定められていないものの,詐欺罪は財産犯である以上,「損害の発生」が要件となると勉強したものですが,

 

近時の最高裁判例の分析によれば,判例は,財産的損害を独立の構成要件要素としているのではなく,財産的損害を「人を欺く行為(欺罔行為)」の中で絡めて判断しているようであり,隔世の感があります。

 

 

詐欺罪の要件論は難しい問題ですが,私としても,判例の議論状況を整理し,弁護活動に役立てていきたいと思います。

 

 

今後も,詐欺罪に関しては,振り込め詐欺でだまされたふり作戦がとられた場合の受け子の罪責など,注目の判断が出る可能性が高いので,判例の動向を注目していきたいと思います。

 

 

明日から6月ですが,頑張っていきたいと思います!

 

投稿者: 弁護士木下正信

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