横浜〈馬車道・関内〉の木下正信です。
今回の記事でお伝えしたいのは,「弁護士に相談したい権利が,消滅時効に掛かっていたとしても,諦めるのはまだ早い。企業によっては,時効に掛かっていたとしても,しっかり対応してくれるところもある。」ということです。
以下,簡単に,ご説明します。
ブログ記事【法律相談】どのタイミングで,弁護士の行う法律相談を受ければよいでしょうか? でも書きましたが,
「これ弁護士に相談した方がよいのかな…」と感じられるようであれば,手遅れにならないうちに,早めに,弁護士に相談していただければと思います。
では,「手遅れ」の具体例とは何か? といいますと, すぐに思いつくのは,「(消滅)時効の問題」だと思います。
例えば,不貞相手に慰謝料を請求するケースや交通事故に関する損害賠償請求を行う場合ですと,民法724条により,「損害及び加害者を知った時から三年間」経過した場合には,それらの請求権は原則として消滅時効に掛かります。※なお,中断が生じる場合や,時効の起算点が争われる場合もありますので,注意が必要です。
もっとも,消滅時効による債務消滅などの効果は,時効援用しなければ,効果を生じません(民法145条)。
そして,普通の人であれば,例えば,お金を誰かから借りていた時に,返済する義務が消滅時効に掛かっていれば,「ラッキー」と時効援用することが通常でしょう。
これに対し,特定の企業の場合,時効を援用することが企業の評判を下げる可能性(レピュテーションリスク)があるため,必ずしも,時効を援用するわけではないというのが実感です。
レピュテーションリスクとは,企業に対する否定的な評価や評判が広まることによって,企業の信用やブランド価値が低下し,損失を被る危険度のことをいいます。
現に損害を被っている人がいるのに,その人を救わず,時効援用を主張することが,場合によっては,会社の評判を下げるという考え方のもとに,時効援用を行わない会社は,少なからず,存在します。
ですので,消滅時効に掛かっていると思われる場合でも,すぐに諦めるのではなく,まずは,弁護士に相談していただければと思います。
よろしくお願いいたします。