【法律雑誌】法学教室2020年6月号を読みました。
2020.06.05更新
横浜<馬車道・関内>の弁護士木下正信です。
法学教室2020年6月号(有斐閣)を学習しました。
1特集1
今回の特集1は,「国家的法益に対する罪の論点」でした。
具体的には,
Ⅰ 公務執行妨害罪の論点
Ⅱ 犯人蔵匿等罪の論点
Ⅲ 証拠隠滅等罪の論点
Ⅳ 偽証罪・虚偽告訴罪の論点
Ⅴ 司法に対する罪の共犯関係・親族関係
Ⅵ 賄賂罪における「職務に関し」の意義
という内容でした。
刑法というと,人を殺した場合の殺人罪(刑法199条)や,窃盗罪(刑法235条)や詐欺罪(246条)等の財産犯に目がいきがちですが,国家的法益に関する罪は,日常生活においてしばしば問題となり得る(例えば,デモ行進を行った際に,警察官に対し暴行を加えた場合には公務執行妨害罪が問題となり得る)ところです。論点を整理し,理解を深めることができました。
2時の問題 新型コロナウイルスの感染拡大と労働法上の諸問題
時の問題として,「新型コロナウイルスの感染拡大と労働法上の諸問題」に対する論考がありました。
解雇・雇止め等の法規制,休業手当と雇用調助成金,テレワークと労働時間の管理について,具体的な対応策や問題点を整理することができました。
とりわけ,テレワークと労働時間の管理については,その必要性が指摘されつつも,
「テレワークガイドラインでは,できるだけ労働時間が当事者によって恣意的に操作されないよう,客観的な把握をするように求めている。しかし,このやり方に従ったとしても,例えばパソコンのログインをせずに仕事をして労働時間を過少報告したり,逆にログインして仕事をしているように見せかけながらパソコンの前で携帯ゲームをするなどの,労働者による不正は防ぎきれない。また他方,使用者からの圧力で,労働者がやむを得ず実際の労働時間よりも短く申告した場合には,在宅労働であれば全て自宅の中の出来事なので,事後に不正があったことを証明するのは簡単ではないだろう。テレワークは,オフィスや工場での労働に比べて,労働時間の客観的な把握が極めて難しい働き方と言わざるを得ないのである。」との問題点が指摘されていました。
従来の労働者概念で捉えきることが可能かも含めて,今後も検討していきたいと思います。
3刑法事例の歩き方――判例を地図に
第14回のテーマは「強盗致死罪」でした。時系列を整理し,事実関係を丁寧に分析すること,犯罪構成要件の趣旨・要件を正確に理解し,その物差しを踏まえた検討を行うことの重要性を再認識しました。
今月も,頑張っていきます!
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